鉄道の未来が変わる?生成AIと顔認証改札が描く新しい駅の形

窓口業務を革新する「生成AI」の仕組み

近年、駅の「みどりの窓口」の減少や混雑が社会課題となるなか、JR東日本などで実証実験が進められているのが、生成AIを活用した新たな対話型サービスです。

会話から乗車条件を瞬時に自動生成

従来の指定席券売機では、画面の案内に従って「乗車駅」「降車駅」「日時」などを一つずつ手動で入力する必要がありました。しかし、新しいAI窓口では「明日の朝イチで、東京から大阪まで大人2人で行きたい」と話しかけるだけで完結します。

生成AIがその自然な会話から意味を汲み取り、「乗車駅:東京」「降車駅:新大阪」「時間:午前6時台」といった具合に、システムが処理できる条件データを自ら「生成」してくれるのです。人間が頭の中で行っている情報の整理をAIが肩代わりすることで、切符の手配にかかる時間は劇的に短縮されるでしょう。

スマホの顔認証と駅の「顔認証改札」の違い

窓口の進化と並行して、東武鉄道などで導入が始まった「顔認証改札」も注目を集めています。私たちの身近にあるスマートフォンの顔認証(Face IDなど)とは、一体何が違うのでしょうか。

セキュリティ重視のスマホ、スピード重視の改札

スマートフォンのFace IDは、赤外線ドットを用いて顔の立体形状(3D)を至近距離で計測する仕組みです。これは「本人以外に絶対に使わせない」という強固なセキュリティを第一に設計されています。

一方、駅の顔認証改札は、高画質な防犯カメラの映像(2D)をAIが解析し、骨格やパーツの位置関係から人物を特定します。何万人ものデータベースの中から、歩いて近づいてくる人物を数メートル手前から瞬時に照合するため、「立ち止まらせずにスムーズに通す」という処理スピードに特化しているのが特徴です。そのため、マスク着用時でも目元などの情報から高精度な識別が可能となっています。

スマートウォッチと顔認証改札の併用における注意点

日々、手元のApple Watchに設定したPASMOなどの交通系ICカードをかざし、スマートに通勤されている方も多いはずです。顔認証改札は事前の設定により、そうした交通系ICカードのデータを顔情報と紐付けることで「顔パス」を実現します。

入場と出場は必ず同じ手段で

ここで注意したいのが、乗車駅と降車駅でのシステムの違いです。例えば「顔認証」で改札を入場したにもかかわらず、降車駅に顔認証システムがないからといってスマートウォッチをかざして出場しようとすると、入場記録がないためエラーとなってしまいます。

鉄道の運賃計算は「どこから乗り、どこで降りたか」のワンセットで成り立っています。過渡期である現在は、乗降する両方の駅が顔認証に対応していない場合、最初から最後までスマートウォッチ等のIC決済で統一する必要がある点を覚えておきましょう。

全国規模の顔認証改札導入に向けたハードルと未来展望

現在、私鉄や地下鉄から広がりを見せている顔認証改札ですが、JRのような巨大な全国ネットワークへ一斉に導入するには、いくつかの高いハードルが存在します。

莫大なデータ処理とシームレスな移動の実現へ

第一に、数千に及ぶ駅の設備投資と、1日あたり数千万人規模の顔データを遅延なく処理するサーバーインフラの問題です。また、複数の鉄道会社をまたぐ直通運転において、デリケートな個人情報である顔データをどう安全に連携させるかという点も、今後の大きな課題となります。

しかし、現在開発が進められているシステムは、他社も相乗りできる共通基盤として設計されています。いつの日か会社の垣根を越え、日本中の改札を完全に手ぶらで歩き抜けられる未来は、そう遠くないのかもしれません。

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